本日7/8(日)、札幌ではたぶん一番大きいオーディオ店であるCAVIN大阪屋さんで、高級オーディオ試聴会なる企画があり、先輩オーディオファイルに連れて行っていただいた。
会場はチサンホテルの新館。
4つの部屋に分かれて各社のハイエンド機を聴くのだが、おそらく比較の便を図って課題曲が2曲設定されていた。
しかし、これがいけない。
ジャズボーカルでカサンドラ・ウィルソンの新譜から「オ・ソレ・ミオ」と、クラシックでシューベルトの交響曲第一番の四楽章が選ばれていたが、誰も聞いたことがない曲なんかかけてオーディオ機器の力を伝えることなんてできるのだろうか。
むしろそのシステムの力を最大限発揮できる曲をかけてもらったほうが聴く方も感動できるだろうし、プレゼン側も力が入るのではないだろうか。
まあ、文句はともかく最初はセオリー通りリファレンスっぽい音が出そうな「アキュフェーズ」社のデモから。
新発売のモノラルパワーアンプA200をフューチュアしたセットでスピーカーはJBL Pjt K2 S9900だった。
これがいきなり爆音系で、しかもなんだかくぐもった音だった。
あれあれなんか変だなと思いながら先輩と部屋を出た。
奥の部屋で同時に開催されていたLINNというスコットランドのブランドのデモの最後の一曲に滑り込んで聴いた。
このピアノ曲がもうなんとも言えず透明な音ですばらしかったな。
うんうん、こうでなくちゃね。
気を取り直して、次に開催されたエソテリックのデモに。
今度はスピーカーがアバンギャルド!
巨大なホーンの付いた個性的なルックスのスピーカーで、音を聴くのはこれが初めてだったが、見かけに似合わず繊細な音を出して音場の見通しがすごくいい。
で、このデモが面白かったのは、CDプレーヤーにクロックジェネレーターのオンオフで音がどのくらい変わるのかの実験をしてくれたことだ。
CDを再生するというのは、本来音波というアナログデータをデジタル信号に変換してCDに焼き付けて、それを読み取り、またアナログ信号に変換するという作業なのだが、この際1秒間を44,100回切り分けてその瞬間瞬間のデータを記録し、それを再生しているのだ。
この「1秒」を計っている時計がCDプレーヤーに内蔵されているわけだが、この水晶発振を使った時計、1年に1秒くらい狂う、という程度の精度なのだ。
で、これを500年に一秒しか狂わないという精度に高めるという機材がクロックジェネレーターというやつだ。
はて、そんなことでどの程度音が変わるのだろうと疑問に思われるだろう。
ワタクシもまったく懐疑的な態度でこの実験に臨んだわけだが、これはすごい。
劇的に音が変わる。
音がふんわりとやわらかくなって、質量を増したように感じる。
思わずこれなら買ってもいいかな、と思ったがこの機械140万円くらいする。
16万円のCDプレーヤーに繋いでいいものじゃない。まあ、専用の端子がついてないから繋げないんだけど。
いい体験をさせてもらったと同時に人間の耳ってすげえところまで聴き取ってるのね、と改めて感心した次第だ。
エソテリックのセパレートアンプと、こちらもセパレート構成のCDプレーヤーにクロックジェネレーターを加えたシステムでアバンギャルドのDuoを鳴らすデモ。
その見かけからは思いもよらなかった見通しの良いすっきりした音を聴いてびっくりした。
しかし、一曲だけ手嶌葵のThe Roseだけは、奇異なほど「口の大きな」手嶌葵の音像が出現し、強い違和感を覚えた。
クラシックや複雑な音像を持つ現代のジャズではさほど気にならなかったのだが、そう考え出すとどの曲も音像は極端に膨らんだものであったような気もする。
しかし、現代のポピュラー音楽のコンサートで聴いている音というのは、まさにここで聴いたような音像の大きな音なのだ。だから、それ自体は問題ではないという向きもあるだろうが、いずれにせよ、このアバンギャルドというスピーカーは音像再現に不器用なところのあるスピーカーであることは間違いない、と思う。
続く
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