2017年3月7日火曜日

ヴァレリー・カーターが死んだ夜に

2017年3月3日、ヴァレリー・カーターが死んだ。64歳だったそうだ。
ヴァレリー・カーター、誰それ?という人でも、家にクリストファー・クロスの「南から来た男」はあるのではないだろうか。

このアルバムのA3に収録されているSPINNINGという曲でデュエットしているのがヴァレリー・カーターである。


全体にのどかで安定的な楽曲が並ぶこの名盤に、どこか不安定な緊張感を残す彼女の歌がこのアルバムの重要なアクセントになっていると僕は思う。

南から来た男
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彼女自身のアルバムで言えば、やはり「愛はすぐそばに」をどうしても思い出す。

ジャケ買いで買ったアルバムの一曲目が素晴らしかったら、とても嬉しい。
ドリカムのセカンドとこのアルバムがその最高の事例だ。
Ooh Childというその曲は何度繰り返し聴いたかわからない。

愛はすぐそばに
愛はすぐそばに
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そして一曲目が素晴らしいアルバムのその他の曲の印象が薄くなってしまうのは、キャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」とこのアルバムの共通点である。
しかし聴きこんでいくと、後半に(アナログで言うとB面に)少し印象の異なる手触りの曲が二曲入っているのに気付く。
原題の「Just A Stone's Throw Away」が由来する「A Stone's Throw Away」という楽曲とそれに続く「Cowboy Angel」だ。
この二曲はプロデュースと演奏にリトル・フィートのローウェル・ジョージが参加していて、しかも「A Stone's Throw Away」は作曲がバーバラ・キースとある。

この「A Stone's Throw Away」が収録されたアルバムは僕の愛聴盤の一枚で、しかし、まったく気付かなかった。

聴き較べてみれば同じ曲だとわかるが、あまりにも印象が違う。
テネシーから夢を抱いてジョージアに出てきたが、厳しい現実と孤独に直面してしまうその葛藤を、ヴァレリー・カーター盤では、少し神経質に上下するメロディで表現するが、バーバラ・キース盤ではおおらかで力強く、あくまでもまっすぐ伸びていく歌で受け流そうとしているように聴こえる。

バーバラ・キース
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今夜聴いているヴァレリー・カーターは、なぜだかOoh Child以外の曲が胸に沁みる。

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