2014年8月25日月曜日

映画「黄金のメロディ~マッスル・ショールズ」を観てきました!

映画「黄金のメロディ~マッスル・ショールズ」を観てきました!
よかったあ~。


もうね、アメリカ、アラバマ州の田舎町マッスル・ショールズの風景が凄い、というか凄まじいのですよ。
日本の「里山」っていわれる風景ってのは、どこか長閑で、美しくて、コントロールの利いている安心感があるでしょう。
マッスル・ショールズのそれは、ひたすらに広大で、荒々しくて、何か霊的なオーラを纏っているのです。
その端っこをなんとか開墾して、それでもでっかい機械使わないと仕事が回らないくらい大きな農園を作るんですけど、それでも自然に<傷をつけた>って感じにならないくらい、自然のほうが雄大で、結局包み込まれたまま。
いろいろとコントロールの利かないサイズだから、無理が生じて悲劇が起きたりする。
農民たちの生活はとても厳しいものです。

そういう厳しさの中から出てきた人たちの音楽は、だからこそ嘘がない。
マッスル・ショールズの音楽の切実さってのはきっとそこにある。

フェイムスタジオの創設者リック・ホールも貧しい農家で育ち、事故で幼い弟を亡くし、その時の経緯から母親が出奔。音楽の世界でなんとか軌道に乗り始めて、自分のために働いて食事を作ってくれた父親を楽にしてやりたくて買ってあげたトラクターが事故を起こし、父も亡くす。
自身も自動車事故で妻を亡くす。

でも彼は仕事には恵まれたと思う。
パーシー・スレッジやウィルソン・ピケット、エタ・ジェイムズなどの伝説的なシンガーのレコードを作った。
アレンジャーが作った譜面をバンドに弾かせて録音するだけのスタジオではなく、その場でみんなで良いアレンジを作っていくスタイルを、機材を知り尽くしたリック・ホールがサポートしていく。
一人ひとりは無名のミュージシャンだが、アラバマが鍛えたあきらめないハートが妥協無く音楽を作っていく。
リック・ホールが作ったのはそういうスタジオだった。

なんだか、高度に分業化されたはいいが、木を見て森を見ずになってしまい、結局プロフェッショナルがいなくなってしまった現代への大いなる皮肉とも、警鐘ともとれる。
自分の手の届く範囲を知り、その範囲のことはすべて知り尽くす。
そうできない者は、あの厳しいアラバマでは生きていけないのだろう。

知識としては知ってるつもりだったけど、その風景見ないことにはやっぱりロック・ミュージックってのは本当にはわからないのかもしれないな。
うん。いつか感じに行く。
待っててくれ、アラバマ!

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