2014年2月1日土曜日

アガサ・クリスティ「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」

米澤穂信の「古典部シリーズ」は原作もいいが、京都アニメーションの渾身のアニメ化が素晴らしいわけで、もちろん全作読破&視聴している。

原作での第二作にあたる「愚者のエンドロール」は、学園祭の出し物に自主制作された映画が、結末部の撮影前に脚本担当の女生徒が倒れてしまうという事態に、みんなで脚本家の意図した真の結末を推理するというお話だ。

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筆者はあとがきにて、バークリーの「毒入りチョコレート事件」と我孫子武丸の「探偵映画」からの影響を認めているが、サブタイトルには「Why didn't she ask EBA?」と記しており、これはアガサ・クリスティの「Why didn't they ask Evans?」(なぜエヴァンズに頼まなかったのか?)から名付けられている。


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ストーリーには影響を受けていないと明言されているが、この、なぜエヴァンズに頼まなかったのか?というタイトル。
なんとも気になるではないか(古典部だけに)。


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というわけで、久しぶりにクリスティを読んでみたのだが、これ無名の作と思ってたけど、実に面白い。

お転婆な貴族の少女フランキーが実にいきいきしてるし、これに純真な鈍感少年がセットになってて、もう現代のライトノベルに遜色ないヒット性の高いキャラクター造形がとてもいい。

二転三転していくプロットも、これぞ推理小説!という感じでドキドキするし、何気ない証拠から思いがけない真相を思いつかれた時に、やられた!と思うのが真の本格魂というものである。
クリスティ、やっぱすごいな、と思って見ると、本作はあのオリエント急行殺人事件と同年の作。納得の筆さばき。ノリにノッてるわ。

爽快このうえないラストも含め、読後もずっと手元においておきたい愛着ある一作となりました。

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