2012年11月14日水曜日

「さまよえるオランダ人」を聴いてみた。

ショ ルティ指揮のワーグナー・オペラ全録音、36枚組CDから「さまよえるオランダ人」を聴いてみた。序曲をかけながら、先輩オーディオファイルからお借りし た本で、オペラ全体の筋を把握する。うーん、なんか「パイレーツ・オブ・カビリアン」で観たような話だな、と思ったら、そういえばあの船「フライング・ ダッチマン号」っていう名前でしたね。The Flying Dutchman=さまよえるオランダ人ですもんね。

当 たり前の話だが、全編ドイツ語で歌われている歌劇の内容は聴きながら理解することはできない。しかしながらBay City Rollersで音楽に目覚め、Led Zeppelinに、Eric Claptonに、Elvis Costelloに、そしてBruce SpringsteenやSteely Danに音楽の何たるかを教わった僕らは、たとえ言語としての意味はわからなくとも歌唱を「人の声による音」として楽しむことに慣れている。

オペラは違う?そうだろうか。
確かにいろいろと違うところはある。

ま ず一曲せいぜい5分、長い曲だって10分を超えることはそうないポピュラー・ソングに較べるとオペラは長い。しかし前回長い時間をかけて「ニーベルングの 指環」に取り組んだ経験から、オペラも短い歌曲の集まりであることがわかったし、構えずに聴いてみると、案外ちゃんと「サビ」のようなものも用意されてい たり、短調で始まって長調に展開していくような、よく聴く展開の曲もあったりする。ポピュラー・ソングなら「シャ・ラ・ラ」とか「ヘヘイ・ヘイ」といった ような言葉で表現されるものが「ヨー・ホイ・ホー」になっているだけで結構似たような構造になっているのだ。


そのように構えずに聴くと、オペラは純粋に楽しい。
物語は物語として別に本で読んだ。いつもクラシックのことを教えてくださるお客様が貸して下さった。
呪 いをかけられ故郷に帰ることができなくなったオランダ人の船長がクルーもろとも何年も何年も海を放浪し、自分を愛してくれる人が現れるまで呪いは解けな い。呪いが解けたとしてもそれは「死」による解放であり、しかもその愛してくれた娘も道連れとなってしまう。道連れになってもかまわないと思ってくれるこ とが、「誠」の証明になるのだ。嵐に遭遇したノルウェー船の船長がさまよえるオランダ人に出会い、娘を紹介する。その娘こそが運命の人であった、というお 話。
日本の古典芸能なんかにもありそうな話なんだけど、細かいところがよく作りこまれててけっこういい話なんだな、これが。
その印象を胸に抱いたまま、一気に聴いた。いいなあ。これ舞台で観たらどんなに素晴らしいんだろうか。機会があればぜひ観てみたいものだ。

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