孤高のハードボイルド作家 原尞さんが亡くなった。
最初に読んだのは、直木賞を獲った『私が殺した少女』だった。
その「いかにも」なハードボイルドの語り口を理解できるほど、僕はレイモンド・チャンドラーを読めていなかった。
村上春樹がチャンドラーの全長編を翻訳してくれたことで、 僕はやっと『ロング・グッドバイ』の魅力にアクセスすることができたんだと思う。
今回の訃報を受けて、処女作の『そして夜は甦る』を再読した時、初読時にはわからなかったその文体の魅力に気づくことができた。
そして今回買った『そして夜は甦る』は、あの「ポケミス版」なんである。
黄色い小口に、あのビニールのカバー。
古風なイラストが添えられた表紙も、ポケミスの雰囲気にピッタリあっていて素晴らしい。
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それにしても寡作の人であった。
しかし残された作品はどれも再読に堪える魅力と底深さを備えている。
この素晴らしい作品たちを、チャンドラーのそれらと一緒に僕は何度も読み返していくだろう。
原尞さん、お疲れ様でした。
どうぞ安らかにお休みください。