「ノックスマシン」との出会いもそのようなありふれた出来事のひとつだった。
作者の法月綸太郎は、どちらかというと苦手な作家の一人で、それは世評の高い代表作「頼子のために」がどうしても面白いと思えなかったから。
だから2014年に「このミス」で1位を獲得したこの作品に寄せられた、ある種微妙で、まったくの手放しでない賛辞に、逆に興味を惹かれていた。
まあそれでもその程度の興味だったので、結局単行本は買わずにいた。
その「ノックスマシン」の文庫をたまたま書店で見かけて、たまたま他に読みたい本がなくて、何気なく買ったそれが、もう完全にツボだったわけです。
この手のユーモアSFが僕は大好物で、まさか本格ミステリの旗手がここまで上手いの書いちゃうなんて思わないもんね。
マイッタ、マイッタ。
またユーモアSFのくせに、題材が本格ミステリそのものなので、なぜが読後本格ミステリへの飢えを感じるという奇妙な作品で、次に手が伸びたのが、同じ出版社の「生首に聞いてみろ」という作品。
これがまた本当に面白かった!
これが多分本来の法月綸太郎の作風なんだろう。エラリー・クイーン・マナーの本格推理。「頼子のために」一作の読み味で、この作者を判断してしまっていたことを後悔させる逸品でありました。
そしてまた今回の法月綸太郎体験で、飛び飛びにしか読んでいないエラリー・クイーンを全巻読んでみようか、という気持ちになっております。
カドカワの新訳で読んだドルリー・レーン四部作の印象が非常に良かったので、年代順に読み直してみるつもりです。
法月 綸太郎
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